RPOC(胎盤遺残)

RPOC(胎盤遺残)とは

RPOC(胎盤遺残)(Retained products of conception)とは、流産、人工妊娠中絶、早産、満期出産後に、胎盤や胎児組織が子宮内に残留してしまう状態を指します。

妊娠の過程において、胎盤は胎児の成長と発育を支える重要な役割を担っています。

しかし、出産後に胎盤が完全に排出されないと、RPOCとなり、様々な合併症を引き起こす可能性があります。

症状

不正出血

鮮血または暗褐色の出血が持続します。
生理以上の出血量の場合もあり、貧血の原因となることもあります。

下腹部痛

鈍痛または疝痛のような痛みを感じることがあります。
子宮の収縮に伴う痛みですが、RPOCがある場合はより強い痛みが続くことがあります。

悪臭

腐敗したような臭いが陰部からすることがあります。
これは、RPOCが感染していることを示唆するサインです。

発熱/悪寒

RPOCが感染している場合は、発熱を伴うことがあります。

合併症

RPOCが放置されると、以下の合併症を引き起こす可能性があります。

子宮内感染

RPOCが感染すると、子宮内膜炎、骨盤内炎症性疾患、敗血症などの感染症を引き起こす可能性があります。

貧血

RPOCによる不正出血が続くと、貧血になることがあります。

癒着

RPOCの治療後に、子宮内膜や卵管などが癒着することがあります。癒着は、不妊の原因となることがあります。

診断

診断は、以下の方法で行われます。

  1. 子宮内診:子宮の大きさや形状を触診し、RPOCがないかを確認します。
  2. 超音波検査:子宮内に胎盤や胎児組織が残留していないかを確認します。
  3. 血液検査:hCG値を測定します。hCGは、妊娠中に分泌されるホルモンであり、RPOCがある場合は値が高くなります。

RPOCが疑われる場合は、上記のすべての検査を行うことが一般的です。

治療方法

治療法としては、以下の方法があります。

子宮内掻爬術

子宮内に残っている胎盤や胎児組織を掻き出す手術です。

子宮鏡下手術

子宮鏡と呼ばれる細長いカメラ付きの器具を子宮内に挿入し、胎盤や胎児組織を視覚的に確認しながら除去する手術です。

 

子宮内掻爬術と子宮鏡下手術のどちらを選択するかは、RPOCの大きさや位置、患者さんの状態などを総合的に判断して決定されます。

治療は、通常静脈麻酔または全身麻酔で行われます。

手術時間は約20分程度ですが、RPOCの大きさや癒着の状態によっては1時間程度かかることもあります。

治療後は、安静にして十分な休息を取る必要があります。
また、不正出血や下腹部痛などの症状がないか注意深く観察し、異常を感じたらすぐに医療機関を受診する必要があります。

RPOCの手術動画

流産手術後の胎盤遺残の手術動画です。

オペラスコープによる子宮鏡手術(バスケット鉗子10mm)の動画です。

手術のメリットとデメリット

RPOC手術のメリット

  • RPOCを確実に除去できる。
  • 子宮内感染などの合併症を防ぐことができる。
  • 不正出血や下腹部痛などの症状を改善できる。
  • 早期に治療することで、将来の妊娠に影響を与える可能性を減らすことができる。

RPOC手術のデメリット

  • 手術による軽度の鈍痛や不快感が術直後にある。
  • 麻酔による嘔気などの副作用が現れることがある。
  • 子宮穿孔、腸管損傷、出血などの手術合併症のリスクがある。
  • 手術後に不正出血の症状が続くことがある。

検査と治療にかかる費用の目安

内容 料金
初診料 890円
再診料 380円
子宮鏡下手術 48,000円
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