PMSとPMDDとは
生理前の体調の変化、人が変わったように性格が変わってこんなの私じゃないって悩んだことはありますでしょうか。
生理前と生理が始まった時の性格の温度差、生理前の誰にも止められないいらいら。
現在は治療方法があるんです。
約80%の女性が生理前になんらかの気分不快症状や身体症状を認めています。
生理がある女性は、生理が始まる1週間前にむくみ・頭痛・腹痛・胸のはり、などの身体症状や不安・怒りっぽい・抑うつ気分・食欲増進、などの精神的な症状が起こる可能性があると言われています。
生理前の症状はあくまでも自分にしかわからないものであり、自分以外の人がその症状を理解することは中々難しいものです。
そのため、女性特有の生理的な現象なのか、もしくは、病的な症状で治療が必要なレベルなのかを判断することは、自分以外の第三者には容易ではありません。
PMSとは
PMSは「月経前症候群」と呼ばれており、生理前に精神的もしくは身体的な症状により生活に支障をきたし、治療が必要な状態を言います。PMSは生理がある20〜40%の女性に認められます。
女性のカラダには生殖行動を調節するような仕組みがあります。
女性ホルモンである、エストロゲンとプロゲステロンの絶妙なバランスにより生理的・精神的な欲求、行動が調節されています。
排卵後の黄体期では妊娠する必要性がなく、生殖行動を抑制するために身体、精神症状としてPMS症状が出現している可能性も示唆されています。
PMDDとは
PMDDは「月経前不快気分障害」と呼ばれており、PMSの精神症状が特に重症な状態を指します。
海外ではうつ病の亜型として診断している国もあります。
PMDDは生理がある女性のおよそ3〜8%に認められ、そのほとんどが20歳代〜30歳代に症状が現れます。
PMDDはPMSと同様に生理前には別人のように変わり果て、生理の開始とともに穏やかになるといった、躁うつ病のような気分の変動が見られます。
自己の感情が抑えられず、周囲とも不協和になるため、本人や家族も精神疾患を疑うこともあります。
そのことが、症状を増悪することもあります。
PMDDで悩んでいる女性にとって原因を知ることで安堵感をもたらし、症状と向き合えるきっかけになります。
様々な治療法があると知ることで治療を積極的に受けるようになります。
症状の出現する時期
PMSやPMDDの症状は生理前におこります。
症状が見られる時期は卵巣からプロゲステロンの分泌が増加している黄体期に認められます。この時期は、基礎体温では高温期、子宮内膜では分泌期に相当します。
生理が開始すると、症状は軽減し、生理終了時には症状は見られなくなります。
PMSとPMDDの症状
PMSの症状は多岐にわたり、150以上の身体的、行動的、精神的症状がPMSに起因すると言われています。
PMSの最も一般的な感情または行動の症状は気分の変動です。
その他の非身体的行動、症状としては、イライラ、不安/緊張、悲しいまたは憂鬱な気分、食欲/食べ物への渇望の増加、拒絶に対する過敏さ、活動への関心の低下などが挙げられます。
PMSの最も一般的な身体的症状は、腹部膨満感と極度の疲労感です。
その他の一般的な症状には、乳房の圧痛、頭痛、ほてり、めまいなどがあります。
産後でも閉経前後でもない女性のほてりは、PMSまたはPMDDを強く示唆します。
これらのほてりは生理の前にも周期的に発生し、更年期のほてりに似ていることが示されています。
PMSの症状はプロゲステロンが脳を含めて全身に作用するため不安やイライラなどの精神症状や腹痛、むくみです。
よくある誤解は、生理中に腹痛、頭痛、イライラするといった症状を訴える女性がいますが、この症状はPMSではなく、月経随伴症状です。
腹部症状が強く、鎮痛剤を服用するような痛みであれば、それは月経困難症という病気です。
中等度から重度の PMS 症状は、健康関連の生活の質の低下 、仕事の生産性の低下、欠勤の増加、外来受診の増加と関連しています。
特により重度の症状を持つPMDDの女性は、自殺念慮や自殺企図のリスクが高いことを示唆する研究もあります。
ピルによる治療方法
ピルがよく治療に使われています。
プロゲステロンの分泌が多くなることで、PMS、PMDDの症状が出現するため、経口避妊薬や低用量ピルが広く使用されています。
ピルには周期投与と連続投与といった内服法の違いがあります。
周期投与では21日間ピルを1錠服用し、7日間休薬する方法や24日間ピルを1錠服用して4日間休薬します。
連続投与では120日ピルを1錠服用して4日間休薬する方法や77日間ピルを1錠服用して7日間休薬します。
PMS、PMDDの症状を緩和する効果としては連続投与が優れています。連続投与できるピルのうちドロスピレノンが配合されているピル(ヤーズフレックス)が腹部膨満感、乳房痛、抑うつ、イライラなどの症状に効果があると証明されています。
ピル以外の治療方法
肉体的、精神的な苦痛による症状で日常生活に支障を及ぼすものの、なんとか社会生活を送れるような生理前の症状が出現する女性には、定期的な運動やストレス軽減などのライフスタイルの改善で症状が軽減する可能性があります。
運動とリラクゼーション
運動とストレス軽減は一般的に身体的、精神的な安定に有益な効果を示します。
散歩、ランニング、ヨガなどの運動により脳内でエンドルフィンが分泌され、気分を向上させる効果があります。
また、適度な運動により女性ホルモンの分泌が抑制され、このことで症状が軽減される可能性があります。
リラクゼーションもPMSの症状を軽減するのに役立つ可能性があります。
深呼吸やマッサージ、アロマテラピーなども心身をリフレッシュさせることも症状の改善に役立ちます。
チェストベリー
チェストベリー (バイテックス) は、軽度の生理前の症状を持つ女性にとって効果的な治療選択肢であると考えられる人気のハーブです。
チェストベリーは PMS 症状に対しては一定の有効であるように見えますが、PMDD に対する有効性はそれほど確実ではないようです。
バイテックスは多くの PMS 症状に対してプラセボより効果的であることが研究で示唆されています。
研究された最も一般的な用量は、20~40mgのバイテックス抽出物です。
その他
月見草油、ビタミンB6、ビタミンE、カルシウム、マグネシウムなどの多くのビタミンや栄養補助食品が、PMSの治療薬として研究されています。
PMSにみられる不安や抑うつはカルシウムの低下症状と類似しているためカルシウムの摂取がこれらの精神症状に効果を発揮する可能性があります。
PMSではビタミンD濃度の低下していると言われています。ビタミンDはカルシウムの吸収を促進するので、それによる症状の改善効果が期待されます。
鉄分とビタミンB6はセロトニンの合成に関与しています。セロトニンは心を落ち着かせる作用をもつホルモンであり、不安感を取り除きます。
高用量のB6による末梢神経障害、カルシウムによる腎結石 のリスク増加と腎臓結石のリスクの可能性を考慮して、ビタミンB6 、高用量のカルシウムサプリメント、または他のビタミンの過剰な摂取は推奨しません。
PMSの医師の診断基準
PMSの症状は同じような症状でも、生理周期ごとにその症状が異なることがあります。
プロゲステロンが分泌される時期に症状が出現しますが、血中のプロゲステロン濃度は症状の有無で明らかに差が出ることはありません。
診察でも特に異常が認められず、その症状のみが診断の手がかりとなります。
具体的な診断としては、以下のような状態を確認することが重要になります。
PMS症状の多寡は問わず、排卵のある女性にPMSの症状が生理の3日前〜10日前に見られ、生理が始まると軽減します。
PMSの症状が日常生活に支障をきたし、複数の生理周期にわたり、同様の症状が生理の前に認められます。
基礎体温を記録して、どのような症状が、どの時期に認められたのかも記載するとより正確にPMSの診断が正確になります。
症状には弱い、中ぐらい、強いなどの症状の強さの程度を記入し、精神的な症状には家族などの客観的な評価も加えることが望ましいです。
PMDDの医師の診断基準
- 情緒不安定(突然悲しくなる、涙もろくなる、のけものにされていると感じる)になる
- 怒りやすくなる、対人関係の障害
- 抑うつ状態、悲観的、自己評価が低い
- 不安感、緊張状態
- 周囲に無関心
- 集中力の欠如
- 無気力、疲労感、倦怠感
- 異常な食欲亢進、特定の食べ物への固執
- 睡眠の障害
- 茫然となる
- 乳房緊満感、腹部膨満、体重増加、筋肉痛、関節痛
上記のうち生理の前の1週間に症状が5つ以上ほぼ毎週期出現し、生理の開始で軽減して生理1週間後には症状が完全に消失すること。
症状が出現すると、日常の生活ができなくなるほどであること。
①〜④までの症状が少なくとも一つ存在していることがPMDDの診断基準になります。
治療にかかる費用の目安
内容 | 料金 |
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初診料 | 890円 |
再診料 | 380円 |
ヤーズフレックス | 月2,350円 |
ドロエチ | 月800円 |