PCOSとは
多嚢胞性卵巣症候群のことです。
卵巣に卵胞がたくさんできるのですが、なかなか排卵できない病気で、生殖年齢の女性の約6~8%にみられるホルモン疾患です。
遺伝的な要因と環境要因が複雑に関連して発症すると考えられています。
排卵が難しくなる体質になるため、放っておくと不妊症に至りやすくなります。
PCOSの診断基準
- 生理の異常
- 超音波検査での多嚢胞卵巣を確認
- 血液中の男性ホルモンの上昇、または、黄体化ホルモンの高値かつ卵胞刺激ホルモンは正常値
の3つすべてを認める場合にPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)と診断されます。
PCOSの症状
- 生理不順、または生理がこない
- 不正性器出血
- 不妊症
- 多毛症
- にきびや吹き出物
- 肥満
PCOSの原因
PCOSの原因や症状の個人差が大きい理由はまだ分かっていないことが多いですが、血糖値をコントロールするインスリンというホルモンに抵抗性を示すことが原因の一つと考えられています。
患者様の中には肥満の人もいれば、やせている人もいる。
コレステロール値が非常に高い人もいれば、そうでない人もいる。
簡単に妊娠できる人もいれば、何年も不妊治療を受ける人もいるのです。
PCOSは、卵巣内部での男性ホルモンの分泌量が増加することも原因と考えられています。
具体的には、以下3つのポイントが関連しています。
ホルモンのバランスの崩れ
脳からのホルモンと、卵巣からの女性ホルモンの分泌のバランスが崩れて、排卵が障害されます。
この結果、卵子が小さいまま成熟せず、正常な排卵ができなくなります。
遺伝的素因と環境要因
PCOSの発症には遺伝的素因や環境要因が影響していると考えられています。
ただし、具体的な原因はまだ完全に解明されていません。
肥満
肥満がPCOSの誘因となることが知られています。
ただし、痩せている人でも発症することがあります。
減量によって症状が改善することがあるため、肥満の人は現在の体重から10%程度の減量をすることが勧められます。
中高年ではメタボリックシンドロームや子宮体癌のための健康管理が必要となってきます。
PCOSの検査方法
血液検査
PCOSの検査としては、女性ホルモンであるエストロゲン、プロゲステロンと脳下垂体から分泌され、卵巣での卵胞の成熟、女性ホルモンの産生を促進させる卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体化ホルモン(LH)の血中濃度を測定します。
それ以外には、男性ホルモンであるテストステロン、糖尿病の検査として血糖値・HbA1cを測定します。
甲状腺機能低下症や亢進症、または、プロラクチンと言われる乳汁分泌に関わるホルモンが上昇していても生理が異常になりますので、それらのホルモンの値も調べることもあります。
超音波検査
PCOSでは卵巣表層に小卵胞が多数認められます。
卵巣に少卵胞が多発しているかを超音波で観察します。
PCOSの治療内容
現在、妊娠の希望がない場合
(エストロゲン正常、プロゲステロン低下)の無月経
ホルムストローム療法(例:デュファストン内服)
(エストロゲン低下、プロゲステロン低下)の無月経。
- カウフマン療法(例:プレマリンとデュファストンの併用)
- 低用量ピルの内服による治療(例:フリウェルLDの内服)
現在、妊娠の希望がある場合
- タイミング法
- 排卵誘発剤(例:クロミッド)
- 体外受精(例:IVF-ET)
- 腹腔鏡下卵巣焼灼手術
多毛症とPCOSの関係
PCOSでは男性ホルモンが過剰に分泌される事もあります。
男性ホルモンが過剰に分泌されると多毛症になります。
当院では薬物療法だけではなく医療脱毛でも体毛に関するお悩みを解決できます。
PCOSのリスク
また、2型糖尿病や心血管イベント、若年性の子宮体がんのリスクも高くなることが知られています。
精神的な健康状態にも影響を与えて、うつや不安障害、摂食障害により、生活の質を低下させるという報告もあります。
思春期から閉経に至るまでの長いライフステージに応じたケアが必要になってきます。
検査と治療にかかる費用の目安
内容 | 料金 |
---|---|
初診料 | 890円 |
再診料 | 380円 |
超音波検査 | 1,600円 |
ホルモン採血 | 4,000円 |
フリウェルLD | 570円 |