子宮頸がんワクチン

子宮頸がんワクチンとは

子宮頸がんワクチン当院では子宮頸がんの発症予防に向けてHPVワクチン接種を推奨しています。
子宮頸がんワクチンは子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を予防するワクチンです。

HPVには200種以上の遺伝子型が存在しています。
子宮頸がんを発症するタイプで多いのはHPV16型が半数を占め、次にHPV18型が20%程度を占めます。

HPV16型が検出された場合には、HPVが検出されない場合の子宮頸がんが発症するオッズ比は435倍、HPV18型が検出された場合には248倍になるという報告もあります。

20代の日本人女性の子宮頸がんではHPV16、18型が90%を超えるというデータもあります。

子宮頸がんをHPV感染により起こしやすい理由の一つがSCJ(扁平円柱上皮境界)の存在が挙げられます。
SCJには扁平上皮と円柱上皮への分化をする幹細胞であるリザーブ細胞があります。
この細胞にHPVが好んで感染します。
この幹細胞がHPV持続感染によりがん幹細胞の性質を獲得すると子宮頸がんへ進展していくこととなります。

子宮頸がんワクチンにより、HPV感染自体を中和抗体によって予防でき、子宮頸がんの発症リスクを減少させることができます。

その他の予防法としてはコンドームの正しい使用など安全な性行動の実践が大切です。

また、定期的に子宮頸がん検診を受けることで、がんになる過程の異常(異形成)やごく早期のがんを発見できます。

HPVワクチン接種と子宮頸がん検診の両方を組み合わせて、子宮頸がんの予防に努めましょう。

子宮頸がんとは

「子宮頸部」は、子宮の出口にある、筒状の部分のことです。

子宮頸がんとは、ここにがんが生じるがん疾患です。

観察・検査しやすいがんですので、早めに見つかると治療がスムーズに進みやすくなるので、良い結果を得られやすくなります。
ただし悪化すると治療が困難になるので、早期発見に努めることが重要です。

子宮頸がんの発症リスクを高める要素としては、喫煙、そして性行為を介して感染するヒトパピローマウイルス(HPV:Human Papillomavirus)の感染が挙げられます。

実際に、90%以上の子宮頚がんの患者様からHPVが見つけ出されたと報告されています。

子宮頸がん

HPVとは

ヒトパピローマウイルス(HPV)は、皮膚病や性感染症の原因として知られるウイルスで、種類は少なくとも200種類以上が確認されています。

HPVはほとんどのヒトが感染しているごくありふれたウイルスです。
多くのHPVは症状が出ないウイルスのため、感染しても気づかないまま生活している方がほとんどです。

HPVには皮膚型HPVと粘膜・性器型HPVの2タイプがあります。

皮膚型HPVは皮膚接触で感染し、主な症状は手足のイボ(尋常性疣贅じんじょうせいゆうぜい)です。
粘膜・性器型HPVは子宮頸がんや子宮頸部異形成、尖圭せんけいコンジローマを引き起こす場合があります。

HPV

子宮頸がんワクチンの安全性

欧州医薬品局の発表では、HPVワクチンが複合性局所疼痛症候群や体位性頻脈症候群の原因となることはないとされています。
また、米国疾病予防管理センターは、HPVワクチンの安全性は複数の研究により科学的に証明されており、ワクチン有害事象報告システムでも安全性に関する深刻な懸念は確認されていないとしています。

日本国内の安全性調査でもHPVワクチン接種の接種歴がない者も、接種後に報告されている症状と同様の多様な症状を呈するものが一定数存在したと報告しています。
頻度の高い副反応としては、注射部位の疼痛、腫脹があります。

また、ワクチンの種類に関係なく、ワクチン接種による急性ストレス反応として不安感、過呼吸、心拍数上昇、血管迷走神経反射によるめまいや失神などの可能性はあります。

子宮頸がんワクチンの有効性

親子2020年にスウェーデンで4価ワクチンの有効性についての報告がされました。

10〜30歳の女性、約167万人を対象にした長期間の追跡調査では、17歳未満でワクチン接種をすると子宮頸がんの発症率を88%も減少し、17歳〜30歳で接種を受けた女性でも53%の子宮頸がんの減少効果が認められました。

また、フランスの臨床研究では9価のHPVワクチンでは子宮頸がんに対して85〜92%の効果が認められるとの報告もされました。

日本において、40歳未満の子宮頸部から検出されるHPV型について調査した研究の報告によると、シルガード9の対象になっているHPV16,18,31,33,45,52,58型が軽度異形成で48.7%、中等度異形成以上の前がん病変で84.9%、子宮頸がんで93.6%と病変に関与していることが報告されています。

日本人女性にもシルガード9が90%以上の子宮頸がんの発症を予防することが期待されています。

子宮頸がんワクチンの注意事項

子宮頸がんワクチンは、ヒトパピローマウイルス(HPV)による感染と子宮頸がんのリスクを低減することを目的としています。
接種を検討する際の主な注意点は以下の通りです。

通常、9~26歳の女性が接種対象者とされています。
ただし、ワクチンを希望する27歳~45歳に接種することは可能です。

ワクチンの効果を最大限に発揮させるためには性交渉以前に接種することが理想的です。
できるだけ早い時期の接種が推奨されています。

副反応として発熱、注射部位の痛み・腫れなどの軽い副反応が起こる可能性があります。

公費助成が適用される場合とそうでない場合があり、自己負担額が異なります。
詳細は住民票のある自治体に確認しましょう。

子宮頸がんワクチンの種類

予防接種の種類

サーバリックス

16型・18型の感染を予防する2価ワクチン

子宮頸がんに関係するハイリスクHPVの16型・18型の感染を予防します。

ガーダシル

16型・18型・6型・11型の感染を予防する4価ワクチン

子宮頸がんに関係するハイリスクHPVの16型・18型の感染を予防します。
尖圭コンジローマに関係する6型・11型の感染も予防します。

シルガード9

16型・18型・6型・11型・31型・33型・45型・52型・58型の感染を予防する9価ワクチン

子宮頸がんに関係するハイリスクHPVの16型・18型・31型・33型・45型・52型・58型の感染を予防します。
尖圭コンジローマに関係する6型・11型の感染も予防します。

サーバリックス

発売開始時期

2009年12月

注射部位

筋肉注射

接種回数

3回

接種スケジュール

2回目は、1回目から1ヵ月後

3回目は、1回目から6カ月後

予防可能なHPVの型

16型・18型の感染を予防する2価ワクチン

効能効果

HPV16型・18型に関係する子宮頸がん、外陰がん、咽頭がん、肛門がんなどを予防します。

接種費用

当院での取り扱いはございません。

ガーダシル

発売開始時期

2011年8月

注射部位

筋肉注射

接種回数

3回

接種スケジュール

2回目は、1回目から2ヵ月後

3回目は、1回目から6カ月後

予防可能なHPVの型

16型・18型・6型・11型の感染を予防する4価ワクチン

効能効果

HPV16型・18型に関係する子宮頸がん、外陰がん、咽頭がん、肛門がんなどを予防します。
HPV6型、11型に関係する尖圭コンジローマの発症を予防します。

接種費用

18,000円

シルガード9

発売開始時期

2021年2月

注射部位

筋肉注射

接種回数

初回接種が15歳未満は2回

初回接種が15歳以上は3回

初回接種が15歳未満のスケジュール

2回目は、1回目から6ヵ月後

初回接種が15歳以上のスケジュール

2回目は、1回目から2ヵ月後

3回目は、1回目から6カ月後

予防可能なHPVの型

16型・18型・6型・11型・31型・33型・45型・52型・58型の感染を予防する9価ワクチン

効能効果

HPV16型・18型・31型・33型・45型・52型・58型に関係する子宮頸がん、外陰がん、咽頭がん、肛門がんなどを予防します。
HPV6型・11型に関係する尖圭コンジローマの発症を予防します。

接種費用

28,000円

子宮頸がんワクチンの公費適用

定期接種の対象

小学校6年生~高校1年生の女子
(誕生日が2012年4月2日~2009年4月1日)

キャッチアップ制度の対象

平成9年度~平成19年度生まれの女性
(誕生日が1997年4月2日~2008年4月1日)

当院で公費適用の方

上記のいずれかの対象の方で、住民票が東京23区内にある女性

公費適用の金額

自己負担額なしで接種が可能です。

公費適用の種類

すべての種類が公費適用です。

そのため、予防可能なHPVの種類が多い9価を接種する方が多いです。

持ち物

  • 本人確認書類
  • 予診票

期限内に接種するには

公費で接種を期間内に終了するには、以下のような最短接種も可能です。

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