子宮頸がん検診でわかること
子宮頸がん検診は、子宮頸部の異常やがん細胞を早期に発見することができます。
子宮頸部の異常やがん細胞が早期に発見できれば、治療を早く始めることができるため、病変の進行を遅らせることが可能です。
子宮頸がん検診で子宮頸がんが発見された場合の早期がんの割合は93.7%ですが、自覚症状が出てから子宮頸がんが発見された場合の早期がんの割合は54.7%と、症状が出てからの場合、早期がんの発見割合が下がります。
また、ASC-US以上の、子宮頸がん検診で要精密検査となった方は、行政検診で2.3%、保険診療などの行政検診以外では6.5%です。
このことからも定期的な子宮頸がん検診が重要となることがわかります。
また、下の表は2013年~2017年の子宮ガン検診でASC-US以上の検査結果となった方の割合です。
行政検診で行った方と、症状があり保険診療など行政検診以外で行った方を比較しています。引用:東京都予防医学協会
検査結果 | 行政検診 | 行政検診以外 |
---|---|---|
ASC-US | 35.4% | 33.8% |
LSIL | 36.3% | 34.2% |
ASC-H | 10.0% | 9.6% |
HSIL | 13.7% | 15.5% |
扁平上皮癌 | 0.9% | 1.8% |
AGC | 2.7% | 3.6% |
上皮内腺癌 | 0.2% | 0.1% |
腺癌 | 0.3% | 1.0% |
子宮頸がんとは
「子宮頸部」は、子宮の出口にある、筒状の部分のことです。
子宮頸がんとは、ここにがんが生じるがん疾患です。
観察・検査しやすいがんですので、早めに見つかると治療がスムーズに進みやすくなるので、良い結果を得られやすくなります。
ただし悪化すると治療が困難になるので、早期発見に努めることが重要です。
子宮頸がんの発症リスクを高める要素としては、喫煙、そして性行為を介して感染するヒトパピローマウイルス(HPV:Human Papillomavirus)の感染が挙げられます。
実際に、90%以上の子宮頚がんの患者様からHPVが見つけ出されたと報告されています。
子宮頸部異形成とは
子宮頸部異形成(CIN)は、子宮頸部にHPVが持続的に感染することで発症します。
子宮頸部の上皮に異形成が認められる段階です。
正常ではない細胞が発生・増殖するため、「子宮頸がんの前がん状態」とも呼べます。
子宮頸部異形成には
- 軽度異形成(CIN1)
- 中等度異形成(CIN2)
- 高度異形成・上皮内がん(CIN3)
の3つの段階があります。
子宮頸がん検診の流れ
1問診
初潮を迎えた年齢、生理の期間やその状態、妊娠・出産経験や自覚症状があるかどうかなどをお伺いします。
2内診
腟鏡を使って子宮頸部をしっかり観察し、状態をチェックしていきます。
子宮の形・大きさ、状態、位置、炎症などがないかも確かめる可能性もあります。
3細胞診
次に、柔らかいブラシで使って子宮頸部の粘膜を優しく擦り、細胞を採取します。
採った細胞は顕微鏡で調べます。
子宮頸がんや、その前がん病変の有無を検査します。
4結果説明
1週間後に検査の結果が出ます。
ご来院またはオンラインで医師より結果説明を行います。
子宮頸がん検診の注意事項
出血の可能性
採取する際、確率は低いのですが、出血を起こす可能性があります。
痛みはほとんど伴いませんので、ご安心ください。
生理中の検査
正しい結果を得るために、生理中の検査はできません。
生理日を避けてご受診をお願いいたします。
子宮頸がん検診の検査結果
扁平上皮系
- NILM(エヌアイエルエム):陰性。異常なし
- ASC-US(アスカス):軽度上皮内病変疑い
- ASC-H(アスクハイ):上皮内病変疑い
- LSIL(エルシル):軽度異形成の疑いあり
- HSIL(ハイシル):中度から高度の異形成あり
- SCC(エスシーシー):扁平上皮がんの可能性あり
腺細胞系
- AGC(エイジーシー):異型腺細胞あり
- AIS(エイアイエス):上皮内腺がんの可能性あり
- Adeno-carcinoma(アデノカルチノーマ):浸潤をともなう腺がんがみられる
- Other malig:他のがんがみられる
子宮頸がん検診の検査結果については以下のページで詳しく説明しています。
子宮がん検診で要精密検査
HPV検査
HPV(ヒトパピローマウイルス)には200種以上の遺伝子型が存在しています。
子宮頸がんを発症するタイプで多いのはHPV16型が半数を占め、次にHPV18型が20%程度を占めます。
この検査は後日内診台で検査をせず、最初に採取した検体に追加で検査することが可能です。
そのため、患者様の検査の負担が軽減できます。
コルポスコピー検査
コルポスコープ(拡大鏡)を用いた組織診(生検)を行う検査です。
腟の中に腟鏡を入れて、薬液(酢酸)で観察しやすい状態にしてから、コルポスコープを使って子宮頸部を観察していきます。
異形成があると疑われる部位は、色調が通常と比べて変化します。この部分から数mmの組織を採取します。
採取した組織は病理検査(顕微鏡を使った検査)に提出します。
2週間程度で結果が出るので、そのタイミングで確定診断をお知らせします。
検査にかかる時間は5分程度です。
HPVワクチンとの予防
予防接種の種類
サーバリックス
16型・18型の感染を予防する2価ワクチン
ガーダシル
16型・18型・6型・11型の感染を予防する4価ワクチン
シルガード9
16型・18型・6型・11型・31型・33型・45型・52型・58型の感染を予防する9価ワクチン
渋谷区の子宮がん検診
当院は渋谷区に所在しているため、渋谷区に住民票がある方で、適用の方は自己負担なしで検査が可能です。
検査と治療にかかる費用の目安
内容 | 料金 |
---|---|
初診料 | 890円 |
再診料 | 380円 |
子宮頸部細胞診(保険) | 1,070円 |
渋谷区公費子宮がん検診 | 自己負担なし |