子宮頸がんとは
「子宮頸部」は、子宮の出口にある、筒状の部分のことです。
子宮頸がんとは、ここにがんが生じるがん疾患です。
観察・検査しやすいがんですので、早めに見つかると治療がスムーズに進みやすくなるので、良い結果を得られやすくなります。
ただし悪化すると治療が困難になるので、早期発見に努めることが重要です。
子宮頸がんの発症リスクを高める要素としては、喫煙、そして性行為を介して感染するヒトパピローマウイルス(HPV:Human Papillomavirus)の感染が挙げられます。
実際に、90%以上の子宮頚がんの患者様からHPVが見つけ出されたと報告されています。
子宮頸がんワクチンとは
当院では子宮頸がんの発症予防に向けてHPVワクチン接種を推奨しています。
子宮頸がんワクチンは子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を予防するワクチンです。
HPVには200種以上の遺伝子型が存在しています。
子宮頸がんを発症するタイプで多いのはHPV16型が半数を占め、次にHPV18型が20%程度を占めます。
HPV16型が検出された場合には、HPVが検出されない場合の子宮頸がんが発症するオッズ比は435倍、HPV18型が検出された場合には248倍になるという報告もあります。
20代の日本人女性の子宮頸がんではHPV16、18型が90%を超えるというデータもあります。
子宮頸がんをHPV感染により起こしやすい理由の一つがSCJ(扁平円柱上皮境界)の存在が挙げられます。
SCJには扁平上皮と円柱上皮への分化をする幹細胞であるリザーブ細胞があります。
この細胞にHPVが好んで感染します。
この幹細胞がHPV持続感染によりがん幹細胞の性質を獲得すると子宮頸がんへ進展していくこととなります。
子宮頸がんワクチンにより、HPV感染自体を中和抗体によって予防でき、子宮頸がんの発症リスクを減少させることができます。