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ミレーナ挿入にかかる費用はいくら?保険適用と自費診療の違いも紹介

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女性が主体的に選択できる避妊方法の一つとして、また低用量ピルの代替手段として、子宮内に挿入する「ミレーナ」が広く知られるようになりました。
ミレーナは子宮内避妊システム(IUS)と呼ばれる避妊具の一種です。
子宮内膜にホルモンが作用し続けるので、一定期間避妊効果が持続する仕組みです。

この記事では、ミレーナの特徴や費用、保険適用と自費診療になるケースを紹介します。実際の治療の流れやピルとの違いもみていきましょう。

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ミレーナとは

ミレーナ(Mirena®)は、「子宮内黄体ホルモン放出システム」「子宮内避妊システム」と呼ばれる避妊具の一種です。

ミレーナはバイエル薬品株式会社から販売されている製品の名称で、服薬タイプの低用量ピルと同様に避妊目的で使用されることがあり、子宮内に留置することで長期的な避妊が可能な器具です。
月経困難症や過多月経への治療のほか、避妊具としても取り扱われています。

さまざまな理由で低用量ピルやディナゲスト(ジエノゲスト)などの薬が体に合わない方や、飲み薬以外の方法で治療を続けたい場合にも適しています。

ただし、ミレーナのみでは性感染症の予防ができません。
性感染症の予防は別途対策が必要です。また、がん・腫瘍・炎症・感染症など、性器に疾患や異常がある方は使用できません。

経腟分娩の有無により、ミレーナの使用が難しいと判断される場合もあります。
挿入の可否や適性については、かかりつけの病院へご相談ください。

ミレーナの費用

ミレーナの使用には、本体価格・装着費用・診察料・検査料がかかります。
本体価格は病院によって異なるほか、製造元の価格設定による変動もあります。

ここからは、挿入までにかかる費用と挿入後の健診・抜去にかかる費用をみていきましょう。

挿入にかかる費用

挿入には、本体価格・装着費用・診察料・検査料がかかります。
検査としては細菌検査や超音波検査などが行われ、過去に病気や異常があった方は、その治療経過も確認します。

ミレーナ挿入に必要な項目

費用の目安

本体価格

30,00050,000

装着費用

10,00030,000

診察料

3,0005,000

検査料

5,00015,000

麻酔(※)

〜約30,000


※麻酔はオプション費用として静脈麻酔や局所麻酔が使われます。
※麻酔を実施していない病院もあります。

上記の価格は自費診療の目安です。
保険が適用になる場合、上記の価格から健康保険負担割合に応じた金額を負担します。

全体の項目をあわせた料金を提示している病院もあります。
費用の詳細はかかりつけの病院にお問い合わせください。

ミレーナの挿入時には痛みを伴うことが多いため、局所麻酔や静脈麻酔を用いた無痛治療が実施されることもあります。
ただしすべての病院で対応しているオプションではなく、麻酔を使用しても子宮内の状態などにより挿入が難しいと判断されるケースもあります。

挿入後にかかる費用

ミレーナを挿入したあとは、定期健診や抜去に費用がかかります。入れ替えを行う場合は挿入と同じ費用がかかります。

ミレーナ挿入後の項目

費用の目安

定期検診

2,0003,000

入れ替え

30,00050,000

抜去

5,000円前後

診察料

3,0005,000

ミレーナは一度挿入すると5年間はそのまま使用できます。
装着直後は1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月・1年後に健診を受けて状態を確認します。問題があれば検査や入れ替え、抜去を行う仕組みです。

装着1年後の健診が終了すると、その後は1年に1回程度の間隔で健診を受け、経過を確認します。
5年目に入ると、ミレーナの効果が切れるため、古いものを抜去し、新しいものに入れ替えるか、服薬など他の方法に切り替えます。

ミレーナは保険適用になる?

ミレーナは利用者の症状や使用目的によって、保険適用または自費診療になります。

保険適用となるケース

保険適用となるケースとして、子宮内膜症・月経困難症・過多月経の症状・低用量ピルの代替治療となる場合が挙げられます。

過多月経など特定の症状がある方は、医師の診断によりミレーナが保険適用となります。
また、特定の症状がなくても低用量ピルが年齢や生活習慣の問題で使用できない場合、ミレーナを保険適用の避妊具として使用できます。

自費診療となるケース

自費診療となるのは、上記の症状がない方や、低用量ピルを問題なく使用できるが他の避妊方法を選びたい方などです。

「健康だが服薬以外の避妊を目的としている」「PMS(月経前症候群)に関する症状緩和のためミレーナを装着したい」といった要望も自費診療となります。

ミレーナとピルの違い

ミレーナとピルは、いずれも避妊手段として用いられますが、その方法や費用に違いがあります。
ミレーナは子宮内に装着する小さな器具で、黄体ホルモンを持続的に放出し、5年間にわたり避妊に役立つとされています。

一方、ピルは毎日服用することで全身に作用し、排卵を抑制することで避妊に役立つとされています。

自費診療の場合、ミレーナにかかる費用は約60,000円〜100,000円が目安です
ピルは1シート(1ヶ月分)あたり約2,500~3,500円が目安で、年間では約30,000~42,000円の費用がかかります。

したがって、長期的な避妊を希望する場合、ミレーナは費用対効果の高い選択肢といえるでしょう。

ミレーナ治療の流れ

ミレーナの治療では、事前に診察・事前検査を行い、ミレーナを医師が装着します。
正しい位置に装着したあと、定期的に健診を受けて位置や状態を確認します。

ここからは詳しい治療の流れをみていきましょう。

①診察・事前検査

初診では、妊娠の有無や子宮・卵巣の状態の確認、性感染症の有無といったさまざまな項目を調べます。

ミレーナの挿入に適しているかを判断するもので、問診ではミレーナを希望する理由や月経・避妊に関する悩みも相談できます。
妊娠・出産の経験がある方は事前に申し出ておきましょう。

各種検査によって問題がないと判断され、性感染症で陰性と診断されれば、ミレーナの装着が可能です。初診時の検査結果を待ってから装着開始となります。
ミレーナの挿入は月経が始まるのを待たなければならないため、事前に説明を受けて月経が始まってから来院します。

②ミレーナの装着

月経3〜7日目に再来院し、ミレーナを装着します。
出産経験がある方は痛みを感じにくいですが、経腟分娩の経験がない方は子宮口が狭いため、痛みを感じやすく、子宮口を広げる処置が必要になることがあります。

痛みに耐えられない方のために麻酔を行っている病院もあります。
事前に申し出たうえで局所または静脈麻酔を行い、ミレーナを挿入します。
産婦人科の医師が行うため、利用者の方や看護師が実施することはできません。

ミレーナを挿入したあとは、医師の指示に従い、適切に管理します。
器具に専用の糸がついていますが、この糸を引っ張ったり位置を変えたりしないように注意が必要です。

③定期健診

装着後1ヶ月目・3ヶ月目・半年・1年のタイミングで定期健診を行います。
健診ではミレーナが正しい位置に挿入できているか(ずれたり脱落したりしていないか)を確認し、同時に利用者の健康状態も確認します。

子宮やその他の部位にトラブルが見つかったとき、ミレーナがずれたり脱落したりしているとき、その他装着に適していないと診断された場合は、ミレーナを抜去し他の手段に切り替えることもあります。

ミレーナの挿入がおすすめの方

ミレーナの挿入がおすすめの方は次のとおりです。

【ミレーナの挿入がおすすめの方】

  • 低用量ピルが服用できない健康な方
  • 月経困難症・過多月経の方
  • 子宮内膜症や子宮腺筋症の方
  • 出産歴があり避妊したい方

ミレーナは出産歴がある方は痛みを感じにくいため、経腟分娩の経験があり、避妊を希望する方に適しています。

また、低用量ピルが使えないが健康な場合や、月経困難症・子宮内膜症のような症状を診断されている方にも治療の選択肢となります。

ミレーナの挿入が向いていない方

ミレーナの挿入が適さない方の特徴は、以下のとおりです。

【ミレーナの挿入が適さない方の特徴】

  • 子宮や膣に炎症がある方
  • 子宮に異常や疾患がある方
  • 肝臓機能に障害がある方
  • 子宮や膣に感染症がある方
  • ミレーナの成分に過敏症がある方
  • 妊娠中・妊娠の可能性がある方
  • 月経以外の不正出血がある方

ミレーナは子宮に直接挿入する器具のため、子宮や膣に感染症や炎症がある方は使用できません。

過去に疾患があり治療中の方や、ミレーナの成分に過敏な方も、他の避妊方法や治療法を提案されることがあります。

妊娠中や妊娠の可能性がある方は、出産後や妊娠していないことが確認された後に、装着を検討します。

体調や既往症によって治療方針が異なるため、かかりつけ医とご相談ください。

ミレーナの副作用

ミレーナの副作用には、月経周期の変化、出血日数の延長、腹痛、不正出血などがあります。

特に重大とされている副作用は次のとおりです。

【副作用】

  • 卵巣嚢胞破裂
  • 子宮穿孔(挿入時)
  • 骨盤内炎症性疾患
  • 子宮外妊娠
  • 器具の脱出リスク

挿入時から挿入後にかけて、上記のような重大な副作用のリスクがある場合は、ミレーナ以外の方法が選択されることがあります。

装着後、数日は不正出血や下腹部痛が起こることがありますが、正しい位置に装着され、体調に大きな問題がなければ、3か月程度経過を観察します。

症状の現れ方や発現の可能性、期間は個人差があるため、体調に変化や異常がみられたときはすぐに病院へ連絡してください。

ミレーナの費用は保険適用の有無によって異なる

今回は、ミレーナの特徴やメリット、治療の流れと副作用について紹介しました。

ミレーナは服薬の必要がなく、長期間にわたり避妊を目的として使用されることがあります。
月経困難症のような症状がある方は保険が適用されますが、避妊や月経の軽減のみを目的としている方は自費診療となります。

子宮や膣の状態によっては、ミレーナの挿入を見送るか、慎重に判断する必要があります。
使用を検討している方は、一度医師に相談してください。

渋谷・原宿・明治神宮前・表参道の婦人科・産婦人科 - LOG原宿

監修者

院長

清水拓哉

経歴

  • 杏林大学医学部卒業
  • 筑波大学附属病院初期研修
  • けいゆう病院後期研修
  • 横浜総合病院などで勤務した後に開業

資格

  • 日本産婦人科学会専門医
  • 産婦人科内視鏡技術認定医

所属学会

  • 日本産婦人科学会
  • 日本産婦人科内視鏡学会
  • 日本子宮鏡研究会

手術実績(通算)

  • 腹腔鏡手術・700件以上
  • 開腹手術・150件以上
  • 帝王切開・300件以上
  • 分娩(経腟分娩)・1000件以上
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