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子宮内膜ポリープがあると性行為の際に影響はある?

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婦人科検診や不妊治療の際に、“子宮内膜ポリープ”が見つかるのは、決して珍しいことではありません。
とはいえ、その生活への影響は知っておきたいところです。
特に妊活中の方は、治療が済むまで性行為を控えたほうがよいのか気になりますよね。

そこで本記事では、子宮内膜ポリープの性行為に関する影響を解説します。
医師から「子宮内膜ポリープがある」と診断され、不安に感じている方は、最後までご覧ください。

子宮内膜ポリープとは

子宮内膜ポリープとは、子宮内膜の細胞がなんらかの要因で増殖し、子宮の内腔にポリープができてしまう疾患のことです。

そもそもポリープは、皮膚や粘膜などから突出した、茎をもつ卵球状の腫瘍であり、胃や大腸にできることで知られています。
良性の腫瘍であるケースが多く、サイズは数mm程度の小さいものから、3cmを超える大きなものまでさまざまです。
同時に複数のポリープが見つかることも少なくありません。

なお、子宮内膜ポリープと子宮頚管ポリープを混同される方もいらっしゃいますが、この2つはポリープのできる部位が異なります。
子宮内膜ポリープは子宮の奥(内膜)にできたものを指すのに対し、子宮頚管ポリープは子宮の入り口(頸部・膣部)にできたものを指します。

子宮内膜ポリープの症状

子宮内膜ポリープは無症状であることが多いため、検査するまで気づかないケースも少なくありません。
ただし、以下のような症状を引き起こす場合もあるので、放置しないほうがよいでしょう。

子宮内膜ポリープの症状

  • 不正出血
  • 過多月経
  • 過長月経
  • 閉経後の出血
  • 貧血
  • 不妊症

子宮内膜ポリープが原因で性器から出血する場合、その出血量は“おりものに血が混じる程度”から“生理が長引いていると感じる程度”といった具合に、個人差があります。
またポリープの大きさや発現した位置次第では、受精卵の着床を妨げてしまうため、不妊症の要因にもなりえます。

子宮内膜ポリープが性行為へおよぼす影響

子宮内膜ポリープができていたとしても、性行為の際になんらかの影響が生じることは基本的にありません。
また、子宮内膜ポリープは子宮の内側にできる構造上、性行為中に男性器がポリープに触れることはなく、痛みや出血が生じるケースはほぼないでしょう。

もし性行為によって痛みが生じたり、出血がひどくなったりするのなら、子宮頸管ポリープや子宮筋腫、子宮内膜症や子宮内膜炎など、別の疾患である可能性が考えられます。

子宮内膜ポリープ切除後の性行為

子宮内膜ポリープを切除したあと、しばらくは性行為を控えたほうがよいでしょう。
術後1~2か月は、期間をあけるようにしてください。

また、おりものの状態も性行為をしてよいかの目安になります。
ポリープを切除したあとの数日間は、患部から出血が続くはずです。
もしその状態で性行為におよべば、痛みや出血が生じるだけでなく、感染症にかかるリスクも高まります。
おりものに赤色や茶色が混じっているときは、まだ出血している可能性があるため、正常な状態に戻るまでは、性行為を避けたほうが無難です。

子宮内膜ポリープと妊娠・不妊の関連性

子宮内膜ポリープの有無と妊娠率には、関連性があることがわかっています。

子宮内膜ポリープは、生殖年齢の女性の約10%に認められるといいます。
一方で、不妊症の方には24~30%程度見られるとの報告があり、このことから、子宮内膜ポリープが不妊の原因である可能性が考えられているのです。

ではなぜ、子宮内膜ポリープが不妊症を引き起こすのでしょうか。
その理由として、以下の要因が挙げられます。

子宮内膜ポリープが不妊症を引き起こす理由

  • 不正子宮出血の発生
  • 子宮内膜の炎症性変化の発生
  • 子宮内腔への精子輸送障害
  • 着床障害

子宮内膜ポリープが原因で出血が生じることは前述したとおりですが、それにくわえてポリープにより精子の通過が阻害され、不妊症を引き起こすケースもあるのです。

だからといって、すべての子宮内膜ポリープを切除しなければならないわけではありませんが、除去したほうが妊娠率・着床率・生児獲得率が向上すると考えられています。
実際に、不妊症の方が子宮内膜ポリープを切除したケースを集め、データ検証したところ、妊娠率の向上が認められたという報告もあります。

子宮内膜ポリープが見つかった場合、そのポリープが妊娠を妨げている可能性が高いようなら、切除を検討したいところです。

子宮内膜ポリープの検査方法

子宮内膜ポリープは無症状であるケースが多いため、発見されにくい疾患です。
1cmに満たない小さなポリープの場合、婦人科検診や不妊検査でも発見されるとは限りません。

「避妊せずに性交渉をしているのに、1年以上妊娠しない」「体外受精をしているが、なかなか授かれない」といった場合は、以下の検査により子宮内膜ポリープを探します。

子宮内膜ポリープの主な検査

  • 経腟超音波検査
  • 子宮鏡検査
  • ソノヒステログラフィー(SHG)

それぞれ、どのような検査なのかを見ていきましょう。

経腟超音波検査

経腟超音波検査は、膣の中にプローブとよばれる細長い棒状の機械を挿入し、そこから発せられる超音波により子宮や卵巣の様子を観察する検査方法です。
痛みや出血が生じることはほとんどなく、ほんの数分もあれば終わります。

子宮や卵巣の様子がモニターにはっきりと映し出されるため、基本的には、この検査で子宮内膜ポリープを発見できることがほとんどです。

ただし性交渉未経験の方は、膣からプローブを入れられないため、この検査を受けることはできません。
その場合は別途、腹部超音波検査や直腸超音波検査などを実施します。

子宮鏡検査

子宮鏡検査は、子宮口から内視鏡を挿入して、子宮内膜の異常の有無を調べる検査手法です。
超音波検査でポリープがあると疑われた際、さらに詳しく調べるためにこの検査が用いられます。
なお子宮鏡検査では、子宮内膜ポリープの有無以外にもさまざまな疾患やトラブルの原因を探ることが可能です。

使用するカメラは3~5mm程度の小さいものであり、子宮腔に挿入する際に痛みを感じることはほぼありません。
医師とともに子宮内の映像を見られるので、その場で検査結果を聞くこともできます。

ソノヒステログラフィー(SHG)

ソノヒステログラフィー(Sonohysterography)は、子宮腔内にカテーテルを挿入し、生理食塩水を注入しながら経腟超音波検査を行うことで、子宮の状態を確認する方法です。
“SHG”と、略称でもよばれます。

生理食塩水を注入することで子宮腔が広がり、子宮内膜の病変が浮かび上がって見えるので、経腟超音波検査だけでは発見できないような病気が見つかることもあります。

シンプルな検査ですが精度が高く、痛みもほとんどありません。

子宮内膜ポリープの治療方法

子宮内膜ポリープは良性腫瘍であるケースが多く、日常生活に影響をおよぼすような症状が表れない限りは、経過観察となることも少なくありません。
ですが妊娠を希望している方の場合、妊娠率の低下の要因となりえるので、積極的に治療を受けたほうがよいでしょう。

子宮内膜ポリープの主な治療法として、薬物療法と子宮鏡手術の2つが挙げられます。

それぞれの概要は次の通りです。

薬物療法

薬物療法では、低用量、あるいは中用量の経口避妊薬を数か月間服用することで、ポリープの縮小を図ります。

ただし、薬物療法はあくまで症状の緩和や、ポリープの成長を抑制するのが目的であり、根本的な治療にはなりません。
また、薬の服用を止めると再発する可能性が高まるため、不妊治療の一環として子宮内膜ポリープの治療を行うのであれば、手術を検討されたほうがよいでしょう。

子宮鏡手術

子宮鏡手術は、内視鏡を子宮内に挿入し、子宮の内腔をモニターに映し出しながら電気メスやシェーバーなどでポリープを切除する治療法です。
腹部を切開するような手術ではないので、日帰りでの施術も可能です。
医師が目視で子宮内を確認しながら施術するので、ポリープを取り残すような心配はありません。

術後には少量の出血や生理痛のような痛みが生じるケースもありますが、基本的にはすぐに日常生活に戻れます。
手術の所要時間は15~20分程度と、短時間で済むケースが大半です。
仕事や家事でまとまった療養期間が確保できないとしても、このような条件であれば、気重に考えることなく治療に望めるのではないでしょうか。

子宮内膜ポリープが複数ある方や、妊娠率を高めたい方は、子宮鏡手術による治療も選択肢の一つとなるでしょう。

子宮内膜ポリープの治療後の注意点

子宮内膜ポリープの治療後は、定期的な検査を受けましょう。
ポリープは、たとえ切除したとしても、40%程度の割合で再発するといわれています。

基本的に子宮内膜ポリープは良性の腫瘍であり、調べたら悪性の腫瘍(子宮体がん・子宮肉腫)だったということは非常に稀です。
そのため、ポリープが生死に関わることは少ないものの、妊娠率の低下を危惧するのであれば、再発の早期発見と治療に努めるに越したことはありません。

また、稀とはいえ悪性腫瘍である可能性もゼロではないので、定期的な検査と医師からのフォローアップは受けておいたほうが安心です。

子宮内膜ポリープの原因

子宮内膜ポリープが形成される具体的な原因は、今なお解明されておりません。
ですが、エストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンの過剰分泌に、炎症や流産をはじめとする要因が重なることで発現するのではないか、と推察されています。

つまり、ポリープの発生に女性ホルモンが関連していると考えられているわけですが、そのメカニズムが明らかになっているわけでもありません。
ただ、疲労やストレスも女性ホルモンの乱れに影響しているのでは、と考えられています。
実際、ホルモン異常や不正出血などの女性特有のトラブルも、疲労やストレスが原因で引き起こされることを考えると、あながち無関係とも言い切れないでしょう。

また加齢も一つの原因といわれていますが、子宮内膜ポリープは20代の方から閉経前の方まで、幅広い年代の方に発現する可能性があるので、一概にはいえません。

子宮内膜ポリープの予防法

子宮内膜ポリープは発現する原因が明らかになっていない以上、確実な予防法はありません。
とはいえ、女性ホルモンの過剰分泌が要因の一つとして考えられるのであれば、正常値に保てるような日常生活を送ることが大切になるでしょう。

体内のホルモンバランスを正常に保つには、バランスの良い食事が不可欠です。
女性ホルモンの原料となるたんぱく質は、適量を摂取することを心がけてください。
そのほかにも、ビタミン類やオメガ3系脂肪酸、マグネシウムやカリウムなどの栄養素をバランスよく摂れる食事メニューを組みましょう。
食事のタイミングは1日3回、決まったタイミングに摂るのが良いといわれています。

食事の次は、睡眠の質の向上も意識したいところです。
女性ホルモンは卵巣から分泌されますが、それを指示しているのは脳の視床下部です。
睡眠が不十分だと脳のはたらきが鈍り、全身のホルモン分泌を促す指示系統が乱れてしまいます。
“就寝の3時間前に食事を終える”“日中に適度な運動をする”ことで、睡眠のリズムを整え、十分な睡眠時間を確保して、脳の機能を正常に保ちましょう。

子宮内膜ポリープが発現したからといって性行為を控える必要はない

今回は、子宮内膜ポリープの性行為への影響について解説しました。

子宮内膜ポリープは、良性の腫瘍であることが多く、生死に関わるような事例は滅多にありません。
ポリープができる場所は、男性器が当たらない子宮の内側のため、性交中に痛みや出血を伴うことはほぼないでしょう。

ただし、ポリープのサイズや発現した位置によっては受精卵の着床を阻害し、不妊症を引き起こす可能性があるため、妊活や不妊治療をされている方は、切除をおすすめします。

婦人科検診で子宮内膜ポリープが見つかった方や、妊活に際して不安のある方はLadies clinic LOG 原宿にご相談ください。
忙しい女性のライフスタイルに合わせた、適切な治療や手術をご提案いたします。

監修者

院長

清水拓哉

経歴

  • 杏林大学医学部卒業
  • 筑波大学附属病院初期研修
  • けいゆう病院後期研修
  • 横浜総合病院などで勤務した後に開業

資格

  • 日本産婦人科学会専門医
  • 産婦人科内視鏡技術認定医

所属学会

  • 日本産婦人科学会
  • 日本産婦人科内視鏡学会
  • 日本子宮鏡研究会

手術実績(通算)

  • 腹腔鏡手術・700件以上
  • 開腹手術・150件以上
  • 帝王切開・300件以上
  • 分娩(経腟分娩)・1000件以上
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