
子宮頸がん検診で異常が見つかった場合、より詳しく状態を調べるために「コルポスコピー検査」という精密検査が行われます。コルポスコピー検査とは、子宮頸部(子宮の入口)を拡大鏡で直接観察し、異常がないかを調べる検査です。
検査の対象となる子宮頸がんは、「HPVウイルス」の感染が主な原因で、初期段階では自覚症状がほとんどないという特徴があります。そのため、検診で異常が見つかった際に、コルポスコピー検査で正確な診断へつなげることが非常に重要となります。
この記事では、子宮頸がんのコルポスコピー検査について、検査の対象者や検査でわかること、注意点などを簡単にわかりやすく紹介します。なぜコルポスコピー検査が行われているのか、ぜひチェックしてください。
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コルポスコピー検査とは?

コルポスコピー検査とは、「(頸部)細胞診」と呼ばれる検査で異常が疑われたあとに行われる精密検査です。コルポスコープ(腟拡大鏡)と呼ばれる拡大鏡で子宮頸部を観察し、同時に組織を搾取することで、頸部の細胞に異形成やがん化などの異常がないかを確認できます。
コルポスコピー検査の痛みには、個人差がありますが、ほとんどの場合、大きな痛みを感じることはありません。器具による圧迫感や、組織を採る際にチクッとした軽い痛みを感じる方もいますが、全身麻酔や局所麻酔は使用せずに検査を行います。痛みが心配な場合は鎮痛剤を使用することも可能です。検査自体は日帰りで行われ、終了後はすぐに普段の生活に戻れます。
また、子宮頸がんの検査はいくつかの段階に分けられ、細胞診やHPV検査を行って異常がみられた場合はコルポスコピー検診を実施します。
具体的には、以下のような流れで処置が行われます。
- 1.問診・視診・細胞診
- 2.HPV検査(※細胞診で要精密検査の場合)
- 3.コルポスコピー検査(※HPV検査陽性の場合)
- 4.手術・放射線治療・薬物療法(※コルポスコピー検査の結果に応じて治療を実施)
子宮頸がんは子宮の入り口部分に発生し、周囲へと広がる病気です。
子宮頸部に細胞の変化(異形成)がみられ、異形成の範囲が広がってがん化し、子宮頸がんと診断されます。
細胞診の段階で異常がなければ、コルポスコピー検診は行われません。
ただし、異形成かどうかが疑わしい場合は精密検査が必要になります。
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コルポスコピー検査以外の子宮頸部の精密検査
子宮頸がん検診で子宮頸部に異常がみられた際は、精密検査を行うこととなります。
その精密検査には、先述のコルポスコピー検査とそれ以外に以下の2つがあります。
1.頸部組織診
頸部組織診とは、子宮頸部の異常がみられる組織をおよそ1mm四方に切り取り、病変の深さを調べる検査のことです。 コルポスコピー検査と同時に行われるケースがほとんどで、併用によって病変を取り漏らすことなく発見できる可能性が高まります。
検査は非常に簡単で、組織を採取したあとは止血用のタンポンを1個挿入し、そのまま終了となります。タンポンは、検査が終了して4時間ほどで取り除けますが、1~2日間は出血がみられるかもしれません。 ほとんどの方は2~3日ほどで収まりますが、3日経っても生理2日目以上の出血が続くようであれば、再度受診してください。
また、頸部組織診の結果は、「正常/異形成/上皮内がん/浸潤がん」の4つに分類されます。 正常あるいは軽度・中等度異形成の場合は、病変が自然になくなる可能性があるため、経過観察で様子を見ることがほとんどです。 しかし高度異形成や上皮内がんが見つかった場合は、そのまま放置すると浸潤がんに進行するおそれがあるので、病変した部分を手術で摘出するか否かを検討します。
2.HPVタイピング検査
子宮頸がんに発展しやすいHPVの型への感染を判定する検査のことを、HPVタイピング検査といいます。 現在HPVには100種類を超える型が確認されていますが、そのすべてが子宮頸がんを引き起こすわけではありません。 子宮頸がんに発展するHPVの型は主に13種類で、これらはハイリスク型とよばれています。
HPVタイピング検査では、子宮頸部を専用のブラシで数回擦って細胞を採取します。 検査は数回擦るだけなので、ほとんど痛みを感じず、短時間で終了します。 この検査によって、上記の型に感染していることが判明した場合は、子宮頸がんの進行を防ぐために定期的に検査を行います。
コルポスコピー検査の対象者
コルポスコピー検査の対象となる方は、次のとおりです。
- 細胞診で異常あり、異常の疑いがある
- HPV検査で陽性と判断された
細胞診は細胞の状態を調べる検査です。HPV検査は、子宮頸がんの原因となるHPV(Human Papillomavirus:ヒトパピローマウイルス)の感染状況を調べる検査です。
細胞診だけではHPVに感染しているかがわからないため、HPV検査との併用が理想的です。
細胞診で異常あり、または異常疑いがあると判断されたり、HPV検査で陽性になったりした場合は、精密検査としてコルポスコピー検査を実施します。
コルポスコピー検査の費用
コルポスコピー検査のみの費用は、保険適用の3割負担で約1000円、生検を行った場合には保険適用の3割負担で約5000円です。
子宮頸がん検診で「要精密検査」と結果を受けた場合のフォローアップ検査として実施される場合、保険が適用されます。
保険が適用される場合、患者様が支払う費用は全体の一部になります。
これにより、実質的な患者様の費用は大幅に削減することができます。
コルポスコピー検査やそのほかの精密検査を、保険適用のもと受ける場合にかかる費用の目安を、以下の表にまとめました。
【コルポスコピー検査とそのほかの精密検査にかかる費用 】
| 内容 | 料金 |
|---|---|
| 初診料 | 890円 |
| 再診料 | 380円 |
| コルポスコピー検査 | 630円 |
| コルポスコピー検査+生検 | 5,000円 |
| 子宮頸部細胞診 | 1,070円 |
| HPV検査3種類 | 1,630円 |
| HPV検査9種類 | 1,630円 |
| HPV検査13種類 | 6,570円 |
LOG原宿では、上記の費用は現金やクレジットカード、電子マネー、QR決済で支払うことができます。また、事前にクレジットカードの登録を済ませている場合は、オンライン決済も行えるので、お気軽にお申し出ください。
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コルポスコピー検査でわかる子宮頸がんの段階
子宮頸がんにおける扁平上皮系のクラス分類(ベセスダ分類)では次のような分類となります。
|
検査結果 |
分類 |
推定される病理(診断) |
|---|---|---|
|
陰性(異常なし) |
NILM |
非腫瘍性所見 炎症 |
|
意義不明な異型扁平上皮細胞 |
ASC-US |
軽度扁平上皮内病変疑い |
|
軽度扁平上皮内病変 |
LISL |
HPV感染 CIN1 |
|
HSILを除外できない異型扁平上皮細胞 |
高度病変疑い |
|
|
高度扁平上皮内病変 |
CIN2 CIN3(高度異形成)・CIN3(上皮内癌) |
|
|
扁平上皮癌 |
SCC |
扁平上皮癌 |
「異常なし」「CIN1・2」「CIN3」「子宮頸がん」の4段階に分けて、どのような症状なのかをみていきましょう。
異常なし
異常なしとは、細胞診やHPV検査の結果、異常がみられない正常な段階です。
細胞に異形成がみられず、HPVウイルスも陰性であれば異常なしと診断されます。
ただし、HPVウイルスは性行為(性器接触)や分娩時に産道を介して感染することがあり、異常なしから「ASC-US(意義不明な異型扁平上皮細胞)」となる場合があります。
異常がみられなくても定期的に検診を受けることが大切です。
CIN1・2
CINとは、「Cervical Intraepithelial Neoplasia:子宮頸部上皮内腫瘍」の略称です。
異常がない状態から何らかの原因で異形成が進むと、CINと診断されます。
CIN1は「(子宮頸部)軽度異形成」という意味で、上皮の下1/3以内に異形成があり、留まっている状態です。
CIN2は「(子宮頸部)中等度異形成」と呼ばれ、上皮の下2/3以内に異形成があり、留まっている状態です。
CIN1の異形成が広がるとCIN2となります。ただし、まだ異形成ががん化しているわけではなく、自然治癒の可能性もあります。(※)
※参照元:公益社団法人日本婦人科腫瘍学会「第2章 子宮頸部前癌病変とⅠA期の主治療」
CIN3
CIN3は「(子宮頸部)高度異形成」または「上皮内がん」と呼ばれる状態です。
高度異形成は上皮の下2/3以上に異形成があり、留まっている状態です。
上皮内がんは、上皮の全層が異形のある細胞に変化した状態ですが、まだ浸潤しておらず留まっています。
コルポスコピー検査の結果CIN3と診断されたときは、すでに高度の異形成状態となっているため、子宮頸部円錐切除術や子宮全摘術が行われる場合があります。
子宮頸がん
子宮頸がんは、高度異形成・上皮内がんがさらに進行し、浸潤がんとなった状態です。
がん化した場合は、次のステージに分けられます。
|
期間 |
状態 |
|---|---|
|
0期 |
粘膜内にとどまっているがん(上皮内がん) |
|
Ⅰ期 |
子宮頚部に限るが、粘膜から浸潤を始めた状態 |
|
Ⅱ期 |
子宮頸部を超えて骨盤内にがんが広がっている状態 |
|
Ⅲ期 |
骨盤壁または膣の下方3分の1までがんが達した状態 |
|
Ⅳ期 |
膀胱や直腸・他の臓器までがんが遠隔転移した状態 |
患部が限られている場合は摘出手術や切除手術を選択するケースが多く、Ⅲ期以降は必要に応じて放射線療法や化学療法などを実施します。
コルポスコピー検査の流れ
コルポスコピー検査は、以下の流れで行います。
検査にかかる時間は約5分~15分程度です。
- 医師との診察
- 内診台への移動
- クスコ(金属製の診察器具)を膣内に挿入し、子宮頸部を拡大
- 子宮頸部に酢酸を染み込ませ、コルポスコープで観察
- 疑わしい病変箇所を、コルポカメラで撮影
- 生検鉗子(せいけんかんし)という道具を用い、1~3箇所の病変を切除
- 切り取った際に出血が生じるため、子宮頸部に止血剤を塗る
- タンポンを挿入(4時間後にご自身で取り除けます)
検査後の流れについて気になる方は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:コルポスコピー検査の結果や検査後の流れを詳しく解説
コルポスコピー検査の注意点
ここでは、コルポスコピー検査の注意点を解説します。 検査前と検査後にわけてそれぞれ詳しくご説明します。
検査前の注意点
検査前の注意点は以下の4点です。
- 1.生理期間を避けての予約が必要
- 2.膣内の洗浄や膣剤の使用は、検査3日前から避ける必要がある
- 3.性行為は、検査の24時間前から避ける必要がある
- 4.血液を固まりにくくする効果をもつ薬を服用中の場合、検査時に出血が止まりにくくなる可能性があるため、検査ができないこともある
検査後の注意点
続いて、コルポスコピー検査後の注意点は次の3点です。
- 1.術後に血や色のついたおりものが出る可能性がある
- 2.検査当日の入浴や飲酒は控える必要がある
- 3.検査後1週間程度は性行為を控える必要がある
どのような点に注意すべきなのか、詳しくみていきましょう。
術後に血や色のついたおりものが出る可能性がある
コルポスコピー検査では、子宮頸部の組織を2〜4ヶ所、米粒半分ほどのサイズを採取します。
検査後、採取した部分に止血剤を塗って30分ほど病院で安静に過ごして終了します。
術後は血または色のついたおりものが出る可能性がありますが、自然に治癒します(出血量が多い、具合が悪い場合は検査を行った病院へご相談ください)。
関連記事:おりものとは?異常がある時の色やにおいの原因を解説
コルポスコピー検査当日の入浴や飲酒は控える必要がある
検査当日は出血があるため、患部が治癒するまで入浴は控えてください。
入浴はシャワーのみにとどめて、膣内の出血が続くようであれば病院へ連絡してください。
コルポスコピー検査後1週間程度は性行為を控える必要がある
組織を採取した部分が治癒するまで待機する必要があるため、性行為は1週間日開けてください(検査を受ける前の24時間も性行為を控えましょう)。
早期発見・早期治療に役立つコルポスコピー検査
今回は、コルポスコピー検査の内容や対象者、検査の注意点について紹介しました。
子宮頸がんはきわめて軽微な状態から異形成が進みます。
初期の段階では体に感じるような強い症状がないため、中等度以降に進行する場合もあります。初期のうちに異常を発見し、対処していくことが大切です。
コルポスコピー検査は、子宮頸部の状態を把握するために行われる検査です。
病気を予防し健康を維持するために、検診の目的や注意点を押さえておきましょう。
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2025.12.17







