子宮頸がん検診や子宮頚部の細胞診を受けて異常がみられた場合は、“コルポスコピー検査”を受けます。
検査後に出血する場合もあるため「普通に過ごして大丈夫なのかな……」とご不安に感じられている方もいらっしゃるでしょう。
そこで本記事では、コルポスコピー検査を受けたあとの過ごし方を、出血が止まらない場合の対応とともにお伝えします。
不安を払拭し、明るい未来に向かって過ごしたい方はご一読ください。
コルポスコピー検査とは?
コルポスコピー検査は、子宮頸がん検診や子宮頚部の細胞診で異常を指摘された方が受ける二次検査です。
この検査を受けることで、子宮頸部の異常をほかの検査よりもさらに正確に診断してもらうことが可能です。
検査の際は“コルポスコープ”とよばれる拡大鏡を用いて子宮頸部や腟の様子を観察し、病変の範囲や度合い、がんの有無を確認します。
またそれだけでなく、1~3か所ほど病変を切除し、子宮頸部の組織の採取も行います。
なお、病変を切除する関係で検査後に多少の出血はみられるものの、検査中に痛みを感じることはほとんどありません。
過度に心配しなくとも問題ないでしょう。
関連ページ:コルポスコピー検査について
コルポスコピー検査の方法
コルポスコピー検査の前に、まず医師による診察を受けます。
診察を終え、内診台に乗ったら以下の流れでコルポスコピー検査が進められます。
なお、検査にかかる時間は、10~15分程度です。
コルポスコピー検査の流れ
- 腟鏡を取り付ける
- 子宮頸部に3%酢酸を塗布する
- 腟内や子宮頸部を観察する
- 病変箇所がみられたらコルポカメラで撮影する
- 病変箇所を切除する
- 止血剤を塗布し、タンポンを挿入する
腟鏡を取り付けたあとに3%酢酸を塗布するのは、病変のある箇所をわかりやすく目立たせるためです。
このとき、酢酸が少ししみる場合があります。
なお、病変箇所を切除する際は若干の痛みを感じますが、ほとんどの方は耐えられる、ほんの一瞬の痛みですので基本的には麻酔を使いません。
むしろ麻酔の痛みのほうが大きいぐらいです。
このときの切除によって、検査のあとには出血がみられるというわけです。
検査の最後には止血のためのタンポンを挿入し、3~4時間後に患者さまご自身で取り出していただくこととなります。
検査後は少量の出血が起こること自体は珍しくなく、帰宅後に出血が多くなる方もいらっしゃいます。
基本的には出血は徐々に落ち着きますが、出血が止まらない場合は別途対応が必要ですので、詳しくは次の項をご覧ください。
コルポスコピー検査後に出血が止まらない場合の対処法
コルポスコピー検査を受けたあと、出血が止まらない場合は、検査を受けた医療機関に相談しましょう。
場合によっては、止血のための措置を受けることになります。
なお先ほどもお伝えしたように、コルポスコピー検査後に出血があること自体は珍しくありません。
検査から数日間、長くて1週間程度は、血の混じったおりものや少量の血が出ます。
それよりも長い期間、出血が続く場合や、生理の出血量を超えるような量がみられる場合は医療機関への相談が必要です。
検査後に通院したほうがよい症状
コルポスコピー検査後に出血が止まらない場合のほか、腹痛や高熱がみられた場合も医療機関に相談するのが望ましいです。
このような症状は感染によって表れることがあり、医療機関では抗生物質の処方や点滴などの措置を受けます。
コルポスコピー検査後の過ごし方
コルポスコピー検査では、子宮頸の一部を切除する関係で、検査後の過ごし方でいくつか気を付けたいことがあります。
以下で詳しく解説いたします。
出血がおさまるまで
コルポスコピー検査による出血には生理用ナプキンで対処し、タンポンを使うのは控えましょう。
切除した箇所が完全に止血していない状態でタンポンを挿入すると、出血を助長してしまう可能性があるためです。
入浴
検査を受けた当日は、シャワーであれば問題ありませんが、入浴は控えてください。
出血が少なければ翌日から入浴が可能ですが、完全に血が止まるまでは体内に細菌が入りやすい状態になっているので、温泉やプールなどに浸かるのは避けましょう。
性行為
切除した箇所が刺激されると出血する可能性があるので、検査後1週間は性行為を控えるのが望ましいです。
医療機関によっては「出血がなければ性行為をしてもよい」「検査から2~3日経てば問題ない」としている場合もあります。
しかしコルポスコピー検査を受けたあとの子宮頸部は、出血だけでなく炎症や感染も起こりやすい状態になっているので、1週間は様子を見たほうがよいでしょう。
運動
激しい運動についても、検査後1週間程度は避けてください。
血行が促進されて、出血が止まらなくなる可能性があります。
特に検査当日の帰宅後と翌日は運動だけでなく、長時間の外出や歩行もできるだけ避け、安静に過ごしましょう。
飲酒
出血が落ち着くまでは、過度の飲酒もお控えください。
飲酒は運動と同様に、血の巡りを促すので、出血を止まりにくくしてしまうことがあります。
コルポスコピー検査に関してよくある質問
最後に、コルポスコピー検査後の過ごし方や体の様子について、よくあるご質問とその回答を解説いたします。
Q1:コルポスコピー検査後にお風呂に入ってしまったけれど、大丈夫?
先ほど「検査当日は入浴を控えるように」とお伝えしましたが、出血がみられないのであれば万が一お風呂に入ってしまったとしても基本的には問題ございません。
ただし、お風呂に入って体が温まったことにより、血行が促進され、出血量が増えることはあり得ます。
そのため、お風呂から上がってから大量の出血や発熱、腹痛などがみられた場合は、検査を受けた医療機関へ早めにご相談ください。
また、もし血が止まらなくなったとしても、患部への圧迫を避けるためタンポンは使わず、生理用ナプキンで対処しましょう。
Q2:コルポスコピー検査後の性行為はいつからしていい?
検査後の性行為は、検査を受けてから1週間以上あとが目安です。
一度出血が落ち着いたように見えても、病変を切除した部位を刺激すると再び出血してしまう場合があるので、1週間程度は期間をあけましょう。
Q3:コルポスコピー検査後に生理は早まる?
コルポスコピー検査をはじめとする、子宮頸がん検査が原因で生理が早まることはありません。
そもそも生理が早くなる原因は、ホルモンバランスの乱れや卵巣機能の低下とされています。
また、生理とは別で出血のある、いわゆる“不正出血”はホルモン異常やさまざまな病気によるもので、いずれにしても検査とは無関係です。
コルポスコピー検査での出血はあくまでも、体の一部を切ったことによる出血ですので、生理や不正出血とは異なります。
コルポスコピー検査後の出血異常は、速やかに医療機関へ相談を
今回は、コルポスコピー検査後の過ごし方について、出血が止まらない場合の適切な対応をはじめ、いくつかの注意点をお伝えしました。
コルポスコピー検査後の少量の出血は、基本的には安静に過ごしていれば問題ありませんが、まれに出血が止まらない場合があります。
そのようなときは検査を受けた医療機関へ相談しましょう。
子宮頸がんをはじめ、生理不順や不正出血など婦人科系のお悩みやご不安を抱えている方は、Ladies clinic LOG 原宿にご相談ください。
コルポスコピー検査や子宮鏡下手術をはじめ、女性の健康を守る検査・治療を提供しております。
監修者
院長
清水拓哉

経歴
- 杏林大学医学部卒業
- 筑波大学附属病院初期研修
- けいゆう病院後期研修
- 横浜総合病院などで勤務した後に開業
資格
- 日本産婦人科学会専門医
- 産婦人科内視鏡技術認定医
所属学会
- 日本産婦人科学会
- 日本産婦人科内視鏡学会
- 日本子宮鏡研究会
手術実績(通算)
- 腹腔鏡手術・700件以上
- 開腹手術・150件以上
- 帝王切開・300件以上
- 分娩(経腟分娩)・1000件以上