日本人女性に3番目に多く見られるがんが子宮がんです。
国立がん研究センターの統計によると、2019年には約5万7千人の女性が新たに子宮がんと診断され、約1万2千人が子宮がんで亡くなっています。
この数字は決して無視できるものではありません。
子宮がんには大きく分けて2種類があります。
1つは子宮体がんと呼ばれるもので、子宮の体部に発生するがんです。
もう1つが子宮頸がんと呼ばれ、子宮の入り口である頸部に発生するがんです。
この2つは発症する時期や原因が異なります。
子宮体がんは主に閉経後の女性に多く見られます。
一方の子宮頸がんは、40代の女性に多い傾向にあります。
つまり、若い年代の方にも発症するがんであり、要注意なのです。
子宮がんの初期症状に注意
子宮がんの怖いところは、初期段階では自覚症状がほとんどないことです。
痛みや出血などの症状が出る頃には、すでにがんに進行している可能性が高くなってしまいます。
そのため、日ごろから体の変化に気をつけることが重要です。
トイレの後にうっすら血がついていた、生理と思っていたが血の量が多かった、腹部に違和感があるなど、些細な変化でも見逃さず、産婦人科医に相談しましょう。
定期検診で早期発見を
子宮がんの生存率を高めるカギは、早期発見・早期治療にあります。
そこで欠かせないのが、定期的な検診を受けることです。
子宮頸がん検診では、産婦人科の医師が子宮頸部から細胞を採取します。
その細胞の中にがん細胞がいないかを顕微鏡で確認する検査です。
採取の際の痛みはほとんどなく、検査自体の負担も少ないのが特徴です。
自治体や雇用主による助成制度を利用すれば、無償で検査をすることができます。
また、保険適応でも1,500円前後と手頃です。
子宮頸がんのハイリスク世代である20代後半以降の女性は、年に1回の検診を受けるようにしましょう。
子宮がんを予防する生活習慣
検診と併せて、日常生活での予防策も大切です。
まず気をつけたいのが喫煙です。
受動喫煙を含め、タバコの煙を避けることが重要です。
喫煙は子宮頸がんのリスク要因の一つと言われています。
次に、子宮頸がん予防ワクチンの接種をお勧めします。
子宮頸がんの原因であるヒトパピローマウイルスに対する予防ワクチンで、13歳から45歳の女性が対象となっています。
小学6年生から高校1年生に相当する年齢では公費負担で無料でワクチン接種が可能になります。
お子さまがいれば、一緒にワクチン接種をご検討ください。
そのほか、ストレス解消や適度な運動、バランスの良い食事など、規則正しい生活リズムを心がけることも大切です。
検診とセルフチェック
子宮がん検診を定期的に受診するだけでなく、日々のセルフチェックも重要です。
排尿後などに、いつもと異なるおりものの状態がないか確認しましょう。
おりものが異常に増えていたり、褐色や粘液が混じっている場合は注意が必要です。
また、性行為時の出血、下腹部の重苦しさや違和感なども、見逃せない症状です。
些細な変化でも気になれば、産婦人科医に相談しましょう。
自分の体は自分が一番良く分かりますので、ご自身の体の調子も気にするようにしましょう。
まとめ
子宮がんは、早期発見・早期治療が可能ながんの一つです。
定期的な検診で発見の機会を逃さないことが何より大切です。
検診に加え、喫煙の防止や子宮頸がん予防ワクチンの接種、ストレス解消など、予防のための生活習慣も心がけましょう。
体の小さな変化にも気づき、産婦人科医に相談することで、子宮頸がんを未然に防げる可能性もあります。
当院では子宮頸がん検診から子宮頸がん検診で要精密検査となった場合のHPV検査、コルポスコピー検査、CIN2とCIN3の日帰り手術も行うことができます。
また、子宮頸がん予防ワクチンの接種も行っています。
子宮頸がん検診で要精密検査となった方の検査結果説明、子宮頚部異形成についても当院のホームページでご説明しています。
症状がある方もない方もお気軽に受診してください。
監修者
院長
清水拓哉
経歴
- 杏林大学医学部卒業
- 筑波大学附属病院初期研修
- けいゆう病院後期研修
- 横浜総合病院などで勤務した後に開業
資格
- 日本産婦人科学会専門医
- 産婦人科内視鏡技術認定医
所属学会
- 日本産婦人科学会
- 日本産婦人科内視鏡学会
- 日本子宮鏡研究会
手術実績(通算)
- 腹腔鏡手術・700件以上
- 開腹手術・150件以上
- 帝王切開・300件以上
- 分娩(経腟分娩)・1000件以上